


1.【ウィッグ】日本ヘアエピテーゼ協会
がん患者さんのヘアケアと社会復帰をサポート
NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会は放射線治療や抗がん剤治療による脱毛に悩む患者さんのヘアケアと
社会復帰をサポートする非営利団体です。設立したのは、河野愛一郎さんとご自身も乳がんを体験され
ている河野こずえさんのご夫婦。患者の視点から独自に開発した医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」と
協会の活動をご紹介いただきました。

河野愛一郎さん(NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会代表理事)
河野こずえさん(広報担当/がんサバイバー)
【プロフィール】
妻の河野こずえさんはアパレル関係のスタイリスト兼ファッション雑誌の
エディター、夫の愛一郎さんは美容とファッション関係のコンサルタント
として活躍。2003年11月、こずえさんが45歳の時に乳がんになり、
抗がん剤治療を受ける。当時の医療用ウィッグは限られたスタイルしかなく
アレンジもできなかったため、それまでの自分とのギャップでこずえさんが
うつ状態に。既存品ではかなわなかった「元の姿に戻りたい」という
こずえさんの気持ちをくみ、美容院でふだん通りカットしてスタイルを
作る「ヘアエピテーゼ」を考案。
「エピテーゼ」の意味は、義歯や義手、義足
-医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」の特徴を教えてください。 | |
河野(愛): | 「エピテーゼ」はドイツ語で、失った歯や手足の代わりの義歯、義手、義足などのこと。 「ヘアエピテーゼ」は抗がん剤で髪の毛を失った姿を元に戻したいという願いをこめて、開発しました。 |
河野(こ): | 「ヘアエピテーゼ」には決まった髪型がありません。ショートカットにスタイルチェンジ
できますし、分け目も自由に変えられます。 また、抗がん剤で髪が抜けると頭は小さくなり、治療終了後に髪が戻ると頭は大きくな ります。「ヘアエピテーゼ」は伸縮するストレッチ素材で頭をつつみ、大きさの変化に 合わせます。 髪型や大きさを調整するのは、私たちの協会の「かつらの学校」の講習を 受けた「再現美容師」。患者さんに、抗がん剤治療前後のヘアケアのアドバイスも行っ ています。 |

化学療法開始前に、ベリーショートにすると楽
-がん患者さんへどのようなアドバイスをしていますか? | |
河野(こ): | たとえば、抗がん剤開始前には、ヘアスタイルをベリーショートにしたほうが、髪が抜けるダメージが少なく、抜けた髪の始末も楽、といったことなど。抗がん剤のあとにくせ毛や白髪に髪質が変わることがありますが、1回伸びてカットすると落ち着きます。 当協会の「再現美容師」は、ウィッグ全般に精通し、シャンプー方法などをアドバイスできます。一般の美容師には難しい、ウィッグの修理のノウハウも持っています。 |

患者さんの美容を支援する「ビューティレッスン」
-協会の活動内容を教えてください。 | |
河野(こ): | 「当協会では抗がん剤治療前から、そして治療後の自髪デビューまでをサポートをしています。お問い合わせいただいた方に、まずお近くの「再現美容師」のいる美容サロンをご紹介させていただきます。サロンでは「再現美容師」が患者さんご自身のフォルムや毛量にあわせて、医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」をカットし、調整を行います。 また、協会では「ビューティサポート」というコンセプトで抗がん剤治療中の女性患者さんを対象とした患者支援活動を行っていて、その一環として、抗がん剤治療の副作用対策のビューティレッスンも開催しています。今まで東京、大阪、愛知、三重で実施しており、今後も定期的に開催していきます。 |
河野(愛): | 医療用ウィッグだけでなく、乳がん患者さんの補整下着や人工乳房が医療費控除を受けられるよう市民運動「Voice of patient(ボイス・オブ・ペイシェント)」を立ち上げ、署名運動もしてきました。がんの患者さんは、高額な治療費で経済的な不安を抱えておられますので、医療費控除が認められたら、大きな支援になると考えています。 |

「ビューティーレッスン」では治療期間に必要なメイク指導、ネイル指導、
まつ毛や眉の指導を行っています。
【自分の「ヘアエピテーゼ」ができるまで】

調整前の「ヘアエピテーゼ」を装着したところ。
ここからご本人のフォルムや毛量に合わせて、
「再現美容師」が髪型をデザインしていきます。

美容室でヘアスタイルを整えるのと同じように、
長さやフォルムがチェックできます。

「ヘアエピテーゼ」調整終了。抗がん剤の影響で、
髪量の変化により頭の大きさが変わったり、髪型を
変えたいという希望があれば再調整します。
NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会
http://www.hair-epithese.com/index.html