


2.セカンドオピニオンを受ける
セカンドオピニオンを受けることは患者さんの権利です。
多くのがんの治療法は1通りではありません。
担当医から乳がんの診断を受け、治療方針の説明をされても、納得できなかったり、本当に
この方法が最善なの?と悩んだ場合のためにセカンドオピニオン制度があります。
セカンドオピニオンとは担当医以外の専門医に意見を聞くこと。疑問を感じたまま、
不安を感じたまま治療を受けるより、自分が納得しうる最善の選択をするために、
このシステムはあるのです。セカンドオピニオンを受けることは患者さんの権利です。
もちろん、担当医の説明、治療方針に納得できるのであれば、セカンドオピニオンを受ける
必要はありませんが、がんの治療はスタート地点がとても重要です。たとえば、乳房に放射線
をかけてしまうと、再建手術はうまくいきません。がんの治療中~治療後にどんな生活を送り
たいかを含め、自分自身の生活や人生設計に合う治療法を選択するためにも、セカンドオピニオン
には意味があると考えます。
セカンドオピニオンで担当医との信頼関係を損なうことはありません。
患者さんの中には、セカンドオピニオンを受けると担当医の心証を悪くするのではないか、
と躊躇する方もいます。しかし、多くの医師は患者さんがセカンドオピニオンを受けることを
理解しており、協力してくれます。「患者さんの当然の権利を認めない医師であれば、その時点で
担当医を変えた方がいいかもしれない」と考えている医師もいます。自分や家族にとって大切な
情報を得るための機会です。遠慮なく申し出てみましょう。


担当医に率直に、「セカンドオピニオンを受けたい」旨を伝えましょう。
その上で、受診に必要な「診療情報提供書」の作成と画像や検査結果などのデータ提供を依頼します。セカンドオピニオンをどこの医療機関で受けるべきか相談することも可能です。


乳がんのセカンドオピニオンを受けるためには、その医療機関に乳腺専門医がいるかがひとつの基準になります。しかし、乳腺専門医の数は限られているためすべての地域で受診可能とは言えません。そのような場合、どこでセカンドオピニオンを受ければいいか、地域のがん診療の中心となる「がん診療連携拠点病院」にある相談支援センターに相談してみてはいかがでしょう。患者団体の相談窓口で聞いてみる方法もあります。


セカンドオピニオンを受ける病院が決まったら、まず、その病院へ問い合わせてみましょう。がん診療連携拠点病院にはセカンドオピニオン外来が設けられていますし、医療連携室で対応する施設もあります。いずれの場合も、セカンドオピニオンは保険診療の枠外(自費診療)で行われており、申込み、予約方法や面談時間、料金などそれぞれの病院によって異なりますので、事前の確認が大切です。


面談時間は30分から1時間と限られていますので、確認したいこと、相談したいことはあらかじめまとめておきましょう。患者側が対価を払って得る貴重な情報ですから、メモの用意はもちろん、必要なら録音も。もちろん、医師に一言断って録音するのがマナーです。
ひとりで受診するのは不安な方や、医師の意見をしっかりと聞くために家族や知識のある友人などに同行してもらうこともよいでしょう。
高齢の方などでは、子供たちの家族など大勢でセカンドオピニオンに訪れることがありますが、がんに対する知識や問題意識のレベルが異なる人があまり大勢でいくと、さながら“がん教室”や“家族会議”の状態になってしまい、限られた時間のなかで肝心の情報が得られないことがあります。セカンドオピニオンは不安な気持ちを聞いてもらう場ではなく、あくまで治療情報を得るための場。同行者もその観点から選び、せいぜい2~3名にとどめておくのがよいと思います。


セカンドオピニオンの結果は必ず担当医に伝えましょう。その上で、ご自身の気持ちを話し、今後の治療をどうするか、担当医と相談して決めます。
場合によっては担当医の病院では希望の治療が受けられないこともありますが、担当医は担当医なりにその病院で可能な最善の治療方法を推薦しているはずです。それを軽視する態度を見せたり、ケンカ別れということではなく、それまでの担当医やスタッフの尽力に感謝をのべつつ、率直に他院に転院することを申し出ましょう。その上で、紹介状やこれまでの検査結果などの書類の作成を担当医にお願いしなければなりません。
よくある「誤解」
セカンドオピニオンとは病院や医師を「変えるために」受けるものではありません。また、あらかじめ自分で方針(例:「抗がん剤は受けたくない」「手術はいや」など)があり、それに合う治療をしてくれる医師が見つかるまで続けるというのも、セカンドオピニオンの趣旨とは異なります。セカンドオピニオンは、ご自身の病気について、より多くの情報を得て、理解を深め、最善の治療を受けるためのもの。担当医とセカンドオピニオン医、2人の意見が 一致している場合は、それが現時点の最善の治療であると考えてよく、安心して治療にのぞむことができます。
・セカンドオピニオンを聞いても悩む場合は「相談支援センター」へ
担当医とセカンドオピニオンの意見が分かれ、ご自身で判断できず、誰かに相談したい、助言が
欲しいと思ったときには地域のがん相談支援センターを活用してみましょう。「どちらの治療法
がいいですよ」といった医学的な助言は得られませんが、何らかの手がかりや心の整理が得られ
るかもしれません。
がん相談支援センターの多くはがん診療連携拠点病院内にありますが、その病院にかかっていな
くても利用できます。電話での相談にも対応している施設もあります。