


1.標準治療って何?
標準治療は、現時点で最善とされる治療法
「標準治療」という言葉を聞くと、ごく一般的な治療で、効果の弱い治療と思われるのではないでしょうか?
「標準治療」とは世界中で行われる臨床試験の結果など最新のデータをもとに、
専門家が安全性と有効性を検討し、その時点で最善であると合意された治療法を言います。
これら合意された治療法をまとめたものが「ガイドライン」であり、乳がんのガイドラインは、
日本において日本乳癌学会が作成し、3年ごとに改定されています。
乳がんの進行度や性質、患者さん一人ひとりの状態など、それぞれの違いにより治療法も異なりますが、
医師が勧める治療法の多くは標準治療が基本です。
「最先端の治療=最高の治療」ではありません
がん治療は日進月歩であり、常に新しく、より効果的な治療方法が研究開発されています。
メディア等でもたびたび最新の研究成果や今まで以上の効果が予想できる治療法が紹介されるので、
患者さんやそのご家族は強い期待をもたれることと思います。
しかし、最先端の治療が最良の治療だとは限りません。
メディアで取り上げられるがんの先端医療のなかには、ラットなどを使った
動物実験など、まだまだ基礎的な研究レベルであるものもあり、
実際に人に対して安全性や有効性を確認する臨床試験で、十分な効果が得ら
れているわけではないものもあります。
また、実際に診療で使われ始めていても、まだ医療者の経験が浅いために、
最適なプロトコール(治療の手順)が定まっていなかったり、
医師の技術の習熟度に格差がある、ということもあります。
最善の治療を受ける方法は
まず自分の病気と治療法について正しく理解すること。
そのためには、担当医に聞くことから始め、信頼度の高い書籍やネット、
そして患者会など多方面から情報を得ることです。
そのうえで、担当医と十分に話し合い、納得の上で治療法を決めることが大切です。
医師からの推奨だけとか、ご自分の判断だけではなく、医師と患者の共同作業で治療法を
決めることが最善の治療法を選択するカギになります。